本記事は元バーテンダーが、培った知識や経験を基にお酒の歴史や飲み方、カクテルの作り方などを紹介しています。また、疑問などにも対応していきますので、コメント欄にメッセージを頂けたらと嬉しいです!では参りましょう!
今回ご紹介するお酒は『ウオツカ』。ロシアのお酒とかカクテルのベースとしてよく知られていますね。アルコール度数が高いことでも知られており、一番高い『スピリタス』だと96度にもなり、そのインパクトで有名ですが、美味しい飲み方や誕生の歴史は意外と知られておりませんので、本記事でしっかりご紹介します!
無色透明、味も匂いもクリアなスタイリッシュなお酒、それがウオツカ

皆さんはウオッカをカクテルせずにそのまま飲んだ事はありますか?飲んだ方ならわかると思いますが、ウオツカは蒸留酒の中でもウィスキーやブランデーのような芳醇な香りや美しい色合いがあるわけでもなく、テキーラやラム、乙類焼酎のように特徴的な味わいも無い(フレーバードウオツカの様な例外も有り)。有るのはアルコール由来の香りと味。本当にシンプルなお酒なんですね。
しかも、雑味がなく、全てにおいてクリアな程良いとされる不思議なお酒なんです。この洗練されたお酒はどういったものなのでしょうか?
VODKA(ウオツカ)とは?

データ
- アルコールタイプ:蒸留酒
- アルコールの強さ:★★★★★
- 色合い:無色透明
- 味わい:アルコール由来の甘みと華やかな香りがある。
原料
ライ麦、グレーン、小麦、大麦、ジャガイモなどが一般的な原料となります。その他の原料として、フルーツ、ミルク、ビートなどが使用されます。フレーバードウオツカの場合にはハーブやフルーツなどで風味づけするものも有ります。
製法
ロシアウォッカの標準的な製法は以下のようになります。
- ライ麦、グレーン、小麦、大麦、ジャガイモなどの原料を煮て、マッシュというデンプンが溶けたお粥状にする。
- マッシュをフィルターにかけ、原料由来の皮やカスなどの不純物を取り除く。
- 2に麦芽を加え、65度くらいに温めながらデンプンを糖分に変える。
- 3に酵母を加えアルコール発酵させ、醪を作る。
- 醪を連続式蒸留機にかけ、高純度のエチルアルコールを取り出す。
- 5のアルコールに天然水や精製水を加水し、アルコール度数40度になるように薄める。
- 蜂蜜や果糖などの糖分やフレーバードウオツカの場合には香料や薬草など各種添加物を加えて味の調整を行う。
- 白樺活性炭で何度かろ過を行う。
- 仕上げに、フィルターにかけ、小さな不純物を取り除き、ボトリングをして完成。
※添加物と、ろ過工程の回数や順序は製品によって変わります。
生産地はどこ?
ウオッカはロシアのお酒というイメージが有りますが、実は様々な地域で作られています。代表的な国を下記の通りです。
- 東欧…ロシア、ウクライナ、エストニア
- 北欧…スウェーデン、フィンランド、ノルウェー
- 中欧…ポーランド、スロヴァキア
- その他の国…フランス、アメリカ、ニュージランド
VODKA(ウオツカ)の美味しい飲み方
ウオッカは極限まで磨かれたクリアな味わいが特徴の蒸留酒です。ですので、この特徴を生かした飲み方をするのが、美味しく飲むベストな方法です。それは、冷凍庫でキンキンに冷やした状態にして、ストレートで飲むと言う事です。口に含めば、不純物の無いアルコール由来の甘さや華やかな香りが楽しめます。
ですが、アルコールの弱い人はそのような飲み方は難しいと思います。そういった人はミネラルウォーターで割ったり、ソーダで割ると良いでしょう。さらにレモンやライムを絞るとウオッカの特徴を壊さないまま飲みやすくなると思います。
VODKA(ウオツカ)ベースのカクテル
- ソルティドッグ
- スクリュードライバー
- モスコミュール
- アラスカ
- バラライカ
- チチ
VODKA(ウオツカ)はどのようにして生まれた?

ロシアのお酒として有名なウオッカは、ざまざまな説が有り、いまだにはっきりとした事がわかっていませんが、12世紀にはロシア周辺で地酒として存在していたようです。また、ポーランド周辺にもそういった説があるようで、いずれにしても、12世紀には東欧・中欧でウオッカに近いものが存在していたと考えられます。
原料も今とは異なったものが使用されていたと思います。何故ならば、ジャガイモやトウモロコシなどの穀類は南米原産なので、大航海時代、18世紀頃にならないとヨーロッパに伝来しなかったからです。
では、当時はどのようなもので作られていたかと言うと、麦を原料した古いタイプのビールやはちみつを発酵させて作ったミードと呼ばれる蜂蜜酒などを蒸留して作っていたと考えられます。
その後、19世紀に入り、白樺の炭によるろ過の方法や連続式蒸留の技術が開発され、クセの強い地酒が非常にクリアな蒸留酒に生まれ変わりました。20世紀にはウオッカの製法がアメリカ・カナダに伝わり、そこから一気に世界的な蒸留酒になりました。19世紀に花開いたカクテル文化がその発展を後押ししたのは言うまでもありません。

ちなみにウオッカの語源ですが、昔、錬金術師達が蒸留酒のことを生命の水と呼んでいました。それが、時を経て、ロシアで「ジーズナヤ・ヴァダー」となり、この「ヴァダー」が「ウォッカ」に変わったと言われています。
日本で販売されている代表的な銘柄
ロシア産
- ストロワヤ…アルコール度数40%。最も古いロシアウォッカブランドのひとつで19世紀末に生産開始。
- ストリチナヤ…「首都の」という意味を持つ、ウオッカの本場ロシアを代表するプレミアムウオッカ。
- スミノフ…アルコール度数40%。何度も濾過を繰り返して雑味・濁りを徹底的に取り除いた、無色透明のクリアなテイストが特長。
フィンランド産
- フィンランディア…アルコール度数40%。氷河の中で長い時間をかけてろ過された天然水を仕込み水として使用し、国産の最上級の六条大麦を原料にして製造。
スウェーデン産
- アブソルート…アルコール度数40%。良質な原材料にこだわる究極のプレミアムウオッカ。穀物を思わせるリッチで複雑な香味の中に、ほのかにドライフルーツの香りを感じる。
ポーランド産
- スピリタス…アルコール度数96%。世界最強のアルコール度数のお酒。厳選されたライ麦を主体とした穀類が原料。70回以上の蒸留を繰り返すことで96度の高濃度に仕上がる。
- ベルヴェデール…アルコール度数40%。世界初の「ラグジュアリー・ウォッカ」として、1996年にアメリカ・NYで話題になった。
- ズブロッカ…アルコール度数37.5%。バイソングラス(ズブロッカ草)のエキスを加えた、フレーバード・ウオッカ。桜の葉のような香りが特徴。
フランス産
- グレイグース…1997年に誕生したフランス産最上級のウルトラ・プレミアム・ウォッカ。
- シロック…アルコール度数40%。厳選されたフランス産ブドウだけで創られたプレミアム・ウォッカ。
アメリカ産
- スカイウオッカ…アルコール度数40%。サンフランシスコ生まれ。4回蒸溜3回ろ過による画期的な製法で生産される。切れの良い味わいと、スムースな後味が特徴でカクテルに最適なプレミアムウオッカ。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか?今回はウオッカについて色々とご紹介しました。ウオッカと言うとロシアの酒ってイメージが強かったと思いますが、ヨーロッパを中心に様々な国で作られていたんですね。
ウオッカは蒸留とろ過を繰り返し、極限まで磨かれることにより出来るお酒でしたが、僕はそこに原石から宝石を磨き出す光景をイメージしました。例えるなら液体の宝石といったところでしょうか。
ウオッカについての疑問・質問はコメント欄によろしくお願いします!ではでは、また次の記事でお会いしましょう!