本記事は元バーテンダーが、培った知識や経験を基にお酒の歴史や飲み方、カクテルの作り方などを紹介しています。また、疑問などにも対応していきますので、コメント欄にメッセージを頂けたらと嬉しいです!では参りましょう!
今回ご紹介するカクテルはシャンパンとカシスリキュールを使ったカクテル『キールロワイヤル』。
以前の記事のでミモザは『贅沢なオレンジジュース』を言いましたが、今回のキールロワイヤルは『贅沢なカシスリキュール』といったところでしょうか。
このキールロワイヤルのレシピからピッタリの料理、誕生の由来を紐解いていきます!
キールロワイヤルはシャンパンの華やかさを受け継いでいる
前回、世界一有名な食前酒として『キール』をご紹介しましたが、キールロワイヤルも負けてはいません。このカクテルはパーティーなど華やかな場所でも好んで供されるゴージャスな食前酒です。
キールロワイヤルはシャンパンとカシスリキュールというシンプルな構成ですが、白ワインを使ったカクテル『キール』と同様で配分によって辛口にも甘口にもなります。
カシスが多いとシャンパンの風味が消えるし、シャンパンが多いとカシスの風味が消えてしまう、バランスが命の意外と難しいカクテルです。では、そんなキールロワイヤルのレシピを見てみましょう!
キールロワイヤルのレシピ

カクテルデータ
- カクテルタイプ:ロングカクテル
- 作成技法:ビルド
- ベース:シャンパン
- アルコールの強さ:★★★☆☆
- 色合い:ルビー色
- 炭酸の有無:有り
- 味わい:シャンパンの華やかな香りとカシスのフルーティな味わいがマッチしたカクテル、男性女性問わず似合うゴージャスな大人のカクテル。
材料
- CHAMPAGNE(シャンパン)・・・4/5 ※
- CASSIS LIQUEUR(カシスリキュール)・・・1/5 ※
※上記のレシピは標準的なものです。好みに応じてバランスを変えてみてください。また、正式なレシピではシャンパンがベースですが、手元にない場合にはスパークリングワインで代用することも可能です。
必要な道具
- フルートグラス
- バースプーン
作り方の手順
- フルートグラスにカシスリキュールを注ぐ。
- 1にシャンパンを静かに注ぐ。
- 最後にバースプーンで軽くビルドし、完成。
上記のレシピの材料を一部変更する事で出来るカクテル
元バーテンダーが、美味しくなるちょっとしたコツとか色々教えちゃいます!
バーテンダー時代に学んだ美味しいキールロワイヤルを作るためのコツを伝授します!守って欲しいポイントは次の3つ。
- カシスは濃いタイプ(クレームドカシス)を使用する。
- 可能であればシャンパンは未開栓のものを使う。
- 氷を使わないので、シャンパン、カシスリキュールは可能な限り冷やす。
キールロワイヤルに合う料理は?

キールロワイヤルはキールと同様に食前酒として位置付けられるカクテルです。なので、当然ですが食事前に飲むのがベストです。
ですが、キールと異なるのは、キールロワイヤルはベースにシャンパンを使っている為、華やかなパーティのウェルカムドリンクとして供されることが多いカクテルなんです。
そのような性格から、パーティにマッチするフィンガーフードを合わせてみると面白いのではないでしょうか。魚介系であれば臭みのないタイプのもの、肉系であれば軽いタイプのものがキールロワイヤルと相性が良いと思います。
私のオススメは豚レバーのリエットをバゲットに乗せたものがおすすめです!リエットとはパテに近いもので、肉を細かくし、玉ねぎ、にんにく、タイムなどで味付けしたペーストです。
豚レバーはクリーミーでさっぱりして、匂いも強くないのでシャンパンベースのキールロワイヤルとの相性は抜群でしょう。
関連するカクテル
贅沢な『王様のキール』が気軽に飲める『庶民のキール』になった経緯とは?
キールロワイヤルとは、訳せば『王様のキール』ということになります。キールは以前の記事でもご紹介しましたが、フランスのディジョン市長が考案した白ワインとカシスリキュールを使ったカクテルです。
では、どうして王様と呼ばれるのでしょう?
それは、キールが白ワインをベースにしているのに対し、キールロワイヤルはシャンパンをベースにしている為です。
シャンパンは白ワインよりも作るのに手間が掛かります。その為、一般的な白ワインより価値があり、また、グラスに注いだ時に立ち上る泡がキラキラと華やかなので、ゴージャスなイメージがあります。
パーティや祝い事などに供されるのはその為です。そういったことからシャンパンを使ったキールロワイヤルはその贅沢さから『王様のキール』と呼ばれるようになったようです。

さて、このキールロワイヤル、誕生したのはキールが普及した後です。キールの誕生が第二次世界大戦後の1945年頃と言われていますので、それ以降にキールロワイヤルは誕生したことになります。
また、誕生した場所はキールがフランスなのに対し、キールロワイヤルは隣国のオーストリアで、ウィーンにあるインターナショナルと言う店のフーベルト・ドヴォルシャック氏の創作と言われています。
贅沢な『王様のキール』は、今では『庶民のキール』として世界中で楽しまれています。では、どうして『王様』とまで言われたカクテルが気軽に飲まれるようになったのでしょうか?
シャンパンは泡が命のお酒で、一度開栓すると泡が抜けていくので、保存する技術のない昔は1杯のキールロワイヤルを作る為に1本のシャンパンが必要になりました。
つまりそれはシャンパンを1本買わなければならないことを意味しました。そんな贅沢なカクテルという意味でも『ロワイヤル(王様)』と名付けられたのかもしれません。

キールロワイヤルが登場し、しばらくするとシャンパンを保存するためのストッパーが開発され、シャンパンは開栓してからもしばらくは飲めるようになりました。
なので、もうカクテル1杯につきシャンパン1本分の代金を払う必要はなくなりました。こうして、キールロワイヤルは『王様のキール』から『庶民のキール』になったのです。
ちなみにこの頃から、キールロワイヤル以外のシャンパンカクテルも気軽に作ることが出来るようになり、一気に普及するようになったと言われています。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか?今回はスタンダードなキールロワイヤルのレシピを中心に、その由来についてご紹介しました。
昔はキールロワイヤル1杯がものすごく贅沢だったということでした。もし、シャンパンストッパーがなければ、キールロワイヤルはとんでもない金額でしたでしょうね。そんなことを頭に思い浮かべながらこのカクテルを飲めば、あなたも気分は王様。
作り方などの疑問・質問はコメント欄によろしくお願いします!ではでは、また次の記事でお会いしましょう!